小さなりんごがいっこ、にこ
かえるにとってはおもいひとつぶ
よくばりすぎたのかもしれません
あっ、コロッころころ、ゴロンゴロン
坂道を転がり始めました
「待って!」手を伸ばしたけれど
底の見えない真っ暗な穴に落ちていきました
かなしいかえるは帰り道
残ったりんごをなくさないように抱えて
かえっていきます
やっぱりかなしい
なみだの粒がこぼれます
夕日がかえるとりんごを照らします
かえるは涙が枯れるまで泣きました
泣き疲れて眠くなったころ
「おとしものだよ」
大きな茶色いシルエットが小さなりんごを持ってやってきました
頭には大きなたんこぶ
それはおともだちのもぐもぐさんでした
おうちでお留守番をしていたぽてまるは立派なりんごに大はしゃぎ
料理上手のもぐもぐさんは小さなりんごをアップルパイに変身させました
これからパーティーの始まりです
みんなで食べたアップルパイはやさしい味がしたよ
ひとり占めするよりみんなで食べたほうがおいしいね
かえるはよくばりすぎないことを学んだのでした
『小さなりんごとかえる』